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劣等人間のようです

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投下は来年

卒論とかいうラスボスが強すぎてブーン系を書くどころか読めてさえいない。
書き終わってから現行の続きを書きます。
つまり、早くても投下は一月……!

もう半分を超えているので、来年のうちに終わらせる所存。
終わり方が2パターン頭の中にあるから、書きながらそのあたりも決める。

追記に( ^ω^)はニートでいたかったようですのプロトタイプ(劣等性が終わってすぐに書いた)を載せておきます。
地の文少なめ、ギャグテイストを狙って見事に滑った黒歴史。




( ;ω;)「どうして……!」

土砂降りの雨の中、青年が駆ける。

( ;ω;)「どうして、こんなことに!」

泥がズボンに飛ぶのも気にせずに、ひたすらに前へ進んでいく。

大きめのリュックを背負い、腰には剣がある。
その姿は冒険者のようだが、肝心の彼は今もまだ弱々しく涙を流している。


( ゚(エ)゚)ギシャー


( ;ω;)「うわあああああああ」

雷に光によって、魔物の姿が映し出される。
地面に足をとられ、転びそうになりつつも彼は逃げた。

生きるためには足を動かすしかないのだ。


彼の名前はブーン=ホライゾン。

元ニートだ。


+++


―数日前―


( ^ω^)パラパラ

( ^ω^)「この漫画面白いおwwww」


( ^ω^)ハフハフ

( ^ω^)「ご飯美味しいおwwww」


( ^ω^)テクテク

( ^ω^)「散歩気持ちいいおwww」


⊂( ^ω^)⊃ブーン

( ^ω^)「走るの大好きだおwww」

 

( ^ω^)「生きるって最高だお!」

 

+++

森の中にある小さな村に彼は住んでいた。
歳は今年で二十三。年齢が近い者達は、狩人なり店なり、何らかの仕事をしている。

彼は、いわゆるニートだった。

J( 'ー`)し「……」

( ^ω^)「今日は森に行ってくるおー」

J( 'ー`)し(あの子、いつまでああなのかしら)

こんな時代に生まれてしまったのだから、自由に生きて欲しいとは思っていた。
しかし、あれはいささか自由すぎではないだろうか。

J( 'ー`)し(あたしがいなくなったら……)

ブーンの父親は昔、魔物に殺されていた。
今、この家はカーチャンの稼ぎだけで成り立っている。

J( 'ー`)し(……心を鬼にするときがきたのかしら)

ため息を一つ吐いて、家を出る。
この状況を打開するための秘策を実行しに行ったのだ。


彼が後に魔物に追われることになる理由の、最初の原因だ。

+++

村は高い壁と、男達からなる自衛団によって守られている。
生まれてこのかた、ブーンは村の外に出たことどころか本物の魔物もみたこともない。
魔物が村を襲ってきたことはあるが、そんなときは家や村の中にある森でじっと身を潜めていた。
今日も壁の中で散歩をし、大きな木の下で昼寝をし、自由気侭な生活をしている。

( うω-)「うーん」

( ^ω^)「……もう夕方かお」

どうりで寒いと思った。
ブーンは身を振るわせながら立ち上がる。

( ^ω^)「今日の晩ご飯は何かおー」

好きなことをして、家に帰れば食事の仕度ができている。
なんとも素敵なことだろう。

('A`)「よおブーン」

( ^ω^)「おお、ボクの旧友。チビで貧相な体つきのくせに、今は防具屋を営んでいるドクオじゃないかお」

('A`)「説明口調乙。
    ん、待て。誰がチビだこら」

( ^ω^)「事実は曲げられないおwww」

('A`)「ならお前はクズニートじゃねーか」

+++

( ^ω^)「失礼な。ブーンは健康的なニートだお」

(;'A`)「そりゃただ遊び呆けてるだけじゃねーか」

( ^ω^)「第一、こんな小さな村じゃろくな就職先もないお」

(;'A`)「おいおい。いくらでもあるだろ」

( ^ω^)「例えば?」

('A`)「武器屋さんの雑用とか、お前のお袋さんが働いてる雑貨屋とか、
    この村の自衛団はいつでも募集かけてるし、子供のいる家で子供の面倒をみるとか、
    自衛団と村の外に行って木の実集めるとか、いっそのこと狩人になるとか」

( ;^ω^)「予想以上の職種を上げられてしまったお」

('A`)「お前がやる気になれば、オレのところでだって雇うぞ」

( ^ω^)「いや、流石に友人の下で働くのは勘弁したいお。
       自衛団だって、厳しい訓練が毎日あるって聞いたお。
       ボクのこの柔らかいぷにぷにの体じゃとてもじゃないけど無理だお」

('A`)「やる前からそんなこと言うなよ……」

( ^ω^)「今を楽しむ! それが全てなんだお!」

+++

('A`)「お前、村の人からどんな目で見られてるのか知ってるだろ?」

( ^ω^)「それがどうしたんだおー。ボクはボクだお。関係ないお」

('A`)「お袋さんが可哀想だとは思わないのか」

( ^ω^)「ボクをこんな風に育てたのはカーチャンだお」

('A`)「はあ……」

( ^ω^)「むっ。ボクだって、やればできる子なんだお」

('A`)「お前、いい歳して『やればできる』はねーよ」

( ;^ω^)「うっ……」

('A`)「なあ、もう十分遊んだとは思わないか?
    ただでさえ、この村は北の方に位置してて、魔王の脅威やら、作物の不作やらが多いんだ。
    お前がお袋さんを支えるべきだと思わないか」

( ^ω^)「……わかってるお」

('A`)「なら、な?」

( ^ω^)「……明日のことは、明日考えるお!」

('A`)「あ、ちょっと待てよ!」

+++

決めポーズをつけて、ブーンは家への帰路を駆け抜ける。
このままではいけない。そんなことは、頭の隅の隅にしか存在していなかった。

( ^ω^)「ただいまだおー」

J( 'ー`)し「……おかえり」

スープの匂いが鼻をくすぐる。

( ^ω^)「お腹減ったおー」

椅子に座っていると、カーチャンが目の前にスープとご飯を出す。

( ^ω^)「いただきます!」

ハフハフと少々行儀の悪い音をたてながら、ブーンは出された食事を腹に収めていく。
ブーンの様子をじっと見つめているカーチャンの視線には気づきもしない。

J( 'ー`)し(……やっぱり、あたしが背中を押すしかないわね)

決意を胸に秘め、ブーンの食事が終わるのを待つ。

( ^ω^)「ごちそうだまでしたお」

J( 'ー`)し「待ちなさい」

( ^ω^)「お?」

+++

立ち上がるのをやめ、再び席につく。

( ^ω^)(何が起こるんだお……。
       カーチャンは今までボクに「働け」と言ってきたことはない。
       よくできた母親だお。でも、もしかして、ついに、何か言われるのかお……?!)

生つばを飲み込み、カーチャンの言葉を待つ。
嫌な静けさがしばらく続いた。

J( 'ー`)し「カーチャン、実は給料が減っています」

( ^ω^)「……お?」

J( 'ー`)し「正直、来月分の電気を魔術師さんに頼むこともできません。
      それどころか、村の自衛団さんへ払う分のお金も待ってもらってるような状況です」

( ^ω^)「えっ」

J( 'ー`)し「このままじゃ、この村からも追い出されかねません」

(;^ω^)「そそそそそそれは困るお!」

J( 'ー`)し「だからね、ブーン」

( ^ω^)(くるっ……!)

+++

J( 'ー`)し「選んで頂戴。

      その1、大人しく働く。
      その2、この家から出て行くこと
      その3……」


(;^ω^)ゴクリ


J( 'ー`)し「……考えてなかったわ」

( ^ω^)「こら。このクソババア」

J( 'ー`)し「出ていけ」

( ^ω^)「すみませんでした」

J( 'ー`)し「わかればよろしい」

(;^ω^)「で、でも突然そんなこと言われても……」

J( 'ー`)し「数日くらいの猶予はあげるから。じっくり考えていいわよ」

(;^ω^)「おー」

+++

ふらつく足。混乱するばかりの思考。
ブーンは自室で頭を抱えた。

(;^ω^)(どうするっ。どうする、ボクっ……!)

(;^ω^)「働きたくないお。でも、追い出されたらどこで漫画読んだり、ご飯食べたりするんだお?!」

選択肢のどちらを選んでも、BADEND直行だ。
これほどまでに理不尽なクソゲーがこの世に存在してもいいのだろうか。

(;^ω^)「否! よくないお!」

自分を正当化してみるが、現状が変わるわけでない。

(;^ω^)「ああ、ボクの平々凡々した幸せにもとうとう終止符が打たれるのかお」

ブーンは考えた。
どちらの方が救いのあるBADENDなのか。

考えて、考え抜いた。


( ^ω^)「……朝になってしまったお」


結局、答えは出ないままだった。

+++

J( 'ー`)し「おはよう」

( ^ω^)「……おー」

朝食を食べる元気もなく、ふらふらと外へ出る。

( ^ω^)(これほど頭を使ったのは久々かもしれないお)

いつもならば微笑ましいはずの、子供の笑い声さえも気に触る。
自分をニートだと蔑む声も、よく聞こえてくるような気がした。

( ^ω^)(どうして、ボクがこんな目に……)

それは、お前がニートだったからだよ。と、言ってやれる人はいない。
ぼんやりとした意識の中、体はしっかりと習慣を覚えているようで、真っ直ぐ迷うことなく足を進めて行く。

( ^ω^)「……ここは」

たどりついたのは、お気に入りの大きな木がある場所だ。
とりあえず、落ち着くべきだろうと判断し、ブーンは木に持たれて目蓋を閉じる。

( -ω-)(心地良いおー)

(  )「おい、こんな朝っぱらからなに寝てんだよ」

+++

体を揺すられ、重い目蓋をなんとかこじ開ける。

( うω^)「ん、誰だお……」

('A`)「ったく。オレの昨日言った話、ちゃーんと考えたのか?」

( ^ω^)「昨日……?」

(;'A`)「おいおい。もう忘れたのかよ」

( ^ω^)(昨日の話……というと)

('A`)「健康な体なんだし、もうちょっとお袋さんをいたわってやってもいいと思うぞ」

( ^ω^)「ちょっと黙ってて欲しいお」

('A`)「えっ」

( ^ω^)(昨日……昨日……)

('A`)(何でオレ、怒られたんだろう)

『('A`)「お前がやる気になれば、オレのところでだって雇うぞ」』


( ゚ω゚)(こ れ だ !)

+++

( ^ω^)「どどどどどドクオ!」

('A`)「ぶぶぶぶぶブーン!」

( ^ω^)「ボクを雇 わ な い か ?」

('A`)「だが、断る」

( ゚ω゚)

( ゚ω゚ )

(;'A`)「じょ、冗談だって」

( ^ω^)「雇ってくれるのかお?!」

('A`)「昨日言っただろ? お前にやる気があるなら、オレは喜んで雇うさ」

( ^ω^)「ドクオ! いや、神様!」

(*'A`)「おいおい。崇めるなよ。ははは、苦しゅうない」

('A`)「それにしても、昨日とは様子が違うじゃないか」

( ^ω^)「それには深いわけがありまして」

('A`)「ほうほう」

+++

( ^ω^)「カクガクシカジカロリコンオツ」

('A`)「へーそんなことがあったのか。ちなみに、オレはロリコンじゃないからな」

( ^ω^)「そんなことよりも、さっそく今日から仕事するのかお?」

('A`)「おーそうだな。っと、その前に」

( ^ω^)?

('A`)つ□「これにサインしてくれ」

( ^ω^)「何だお?」

('A`)「契約書。友人とはいえ、こういうことはちゃんとしておかないと、後々面倒だしな」

( ;^ω^)「結構長い文章だお……」

('A`)「まあ、オレが雇い主で、お前は雇われ。
   オレの仕事を手伝う代わりにお給料払いますよーってことだ」

( ^ω^)「ちなみに給金はいかほど?」

('A`)「日給で七万円。ってところだな」

( ^ω^)「え、そんなに貰っちゃっていいのかお? いいのかお? マジかお?」

('A`)「おう」

+++

( *^ω^)「ふへへへへ。サインしちゃいますお! サラサラしちゃいますお!」

('A`)「ほら、ペン貸してやるよ」

( ^ω^)「ありがとうだお!」

( ^ω^)サラサラ

('A`)(…………悪いなブーン)

旧友を騙すというのは、胸が痛むものだ。
しかし、コレもブーンのため。ドクオは心を鬼にしていた。

( ^ω^)つ□「書けたおー」

('A`)「お、どれどれ」

契約書には、確かにブーンの名前が書かれている。
これで、ブーンは逃げることができなくなった。

('A`)「……おk。確かにサインは頂いた」

( ^ω^)「で、何から始めればいいかお?」

('A`)「まあ、まずオレの店にこいよ」

( ^ω^)「把握だお」

+++

小さな村で、唯一の防具屋。それがドクオの実家だ。
両親んは既に亡くなっているため、ドクオが店主だ。バイトは雇っていない。

こじんまりとしてはいるが、自衛団の人が通ってくるので、経営は成り立っているらしい。

('A`)「まあ、座れよ」

( ^ω^)「どこに行くんだお?」

('A`)「ちょっと取ってこないといけない物があるんだ」

( ^ω^)「わかったお」

( ^ω^)(制服とかかお?)

待っている間、じっとしているのも暇なので、ブーンは適当に店を見渡す。
他の村や町でどのような装備を売っているのか知らないので、良い物が置いてあるのかすらわからない。

ただ、自衛団の人が装備しているものと同じということだけはわかる。
武具は食べ物とは違い、消費期限がない。その上、この店を利用するのは自衛団の人だけとなると、そうそう忙しくなることもないだろう。

( ^ω^)(これで七万とかwww うはwww 超ホワイトだおww)

+++

胸を小躍りさせる。

('A`)「お待たせ」

( ^ω^)「いや、全然。
       ……って、それなんだお?」

ドクオが持ってきたのは防具だ。
胸、肩、腕、腰周りの辺りを守るための武具で、材質は見たところ皮だ。

('A`)「何って……皮の鎧」

( ^ω^)「商品かお?」

('A`)「うーんちょっと違う」

( ^ω^)?

('A`)「まあ、ちょっと着てみてくれ」

( ^ω^)「入るかお?」

ブーンは標準体型とは言いがたい。
少しばかりぽっちゃりしている。

('A`)「そこのところは大丈夫」

+++

( ^ω^)?

( ^ω^)「まあ着てみるお」

シャツにジーパンというシンプルな格好をしていたので、そのまま鎧を装着する。

( ^ω^)「おお」

鎧はブーンにピッタリだった。

('A`)「元々、若干ガタイのいい人向けだったし、ブーンなら丁度だと思ってたんだ」

( ^ω^)「ボクは筋肉もあまりないし、ちょっと複雑な心境だお」

('A`)「結果オーライってことでいいだろ」

( ^ω^)「むー」

('A`)「ちょっと動いてみてくれ」

( ^ω^)「わかったお」

体を捻る。屈む。殴る動作をしてみる。
どれを行っても、鎧がその行動を邪魔することはなかった。

+++

('A`)「どうだ?」

( ^ω^)「軽いし動きやすいお。でも、こんなので魔物の攻撃を受け止められるのかお?」

内側に鉄板があるわけでもなく、本当にただの皮でしかない。

('A`)「一応、魔物の皮だから耐久はある。まあ、鉄には劣るが……」

( ^ω^)「自衛団の人は大変だお……」

('A`)「そうだぞ。感謝しとけよ」

( ^ω^)「で、これが仕事かお?」

新作の防具を試着し、性能を伝える。
ドクオの体では、普通の防具のサイズでも大きいだろうし、確かにこれが仕事だといわれても違和感はない。

('A`)「……まあそんなところだ」

( ^ω^)?

含みのある言葉に、ブーンは首を傾げる。

+++

('A`)「その鎧はなんとダイアモンド配合!」

( ^ω^)そ

('A`)「体のどのような動きにも合うように、柔らかな皮で作ってあるので、動きやすい」

( ^ω^)「それは実感しております」

('A`)「さらにいえば、火炎系の魔物の皮を使っているので、火に強い!」

( ^ω^)「なんと! ならば火攻めをされても」

('A`)+「へっちゃらです!」

( ^ω^)「……でも、お高いんですお?」

('A`)「いいえ、こちらの商品、今回は特別価格……」

(゚A゚)「1980円でのご奉仕になります!」

( ^ω^)そ「ええー!」

( ^ω^)「ダ、ダイアモンド配合なのにですか!」

('A`)「はい! 私、嘘は申しません!」

+++

('A`)「と、こんな感じの防具だ」

(;^ω^)「なるほど」

('A`)「これはうちで作ったものじゃない」

( ^ω^)「まあ、ここは防具を作る店じゃないお」

('A`)「その通り。
    この店の売り物は、自衛団の人についてもらって、別の町やらで入荷している」

( ^ω^)「知らなかったお」

('A`)「この世間知らずの豚め」

( #^ω^)

('A`)「だが、これは町で入荷したものでもない」

( ^ω^)「と、いうと……?」

('A`)「数日前のことだ。全防具屋、武器屋にこんな通達がきた」

+++

曰く、来るべき日に備え、武具を強化したい。
各店は、国から支給された武具を持ち、その性能を調べよ。
調べ方は以下の通りである。

・武具を装備し、旅をする。
 どこへ向かうかは自由。
 ただし、一日に一定距離を動かなければならない。動いているかは、武具に魔法がかかっているため、すぐにわかる。

参加する、しないは自由であるが、参加した者には旅費として一日に七万円を支給するものとする。


('A`)「と、いうことだ」

( ^ω^)「ふーん。防具屋も大変なんだおね」

( ^ω^)「…………何か引っかかるお」

('A`)「…………」

『参加した者には旅費として一日に七万円を支給するものとする。』
             ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
『('A`)「日給で七万円。ってところだな」』
    ~~~~~~~~~~~~~~

( ゚ω゚)「ま、まさか……」

+++

('A`)「ブーン。これはオレからのプレゼントだ」

手渡されたのは大きめのリュックだ。
ずしりとした重さがある。

( ゚ω゚)「ド、クオ……これはどういうことだお」

('A`)「もう、察しはついてるんだろ?」

( ゚ω゚)「嘘だと言ってくれお」

('A`)「すまんな。真実だ」

( #゚ω゚)「お前は! 旧友に、死ねというのかお?!」

('A`)「死んで欲しくないさ」

( ゚ω゚)「嘘だお! 村の外は凶暴な魔物で一杯だお!
      そこにブーンを放り捨てるなんて、悪魔の所業だお!」

('A`)「そうかもしれん。だがな、ブーン」

( ゚ω゚)「黙れお! ボクは絶対に行かないお!」

('A`)「……これはな、お前のお袋さんが仕組んだことなんだよ」

( ^ω^)「え……?」

('A`)「昨日、相談されたんだ」

+++

('A`)「このままだと、お袋さんが死んじまったら、お前はどうなる?
    この村でお前のことを雇うような人がいると思うか?
    長年ニートで、怠け者で、村の食料を減らすことしかしないお前を」

(;A;)「お袋さんだって悩んだだろうよ!
    でもな、お前が生きるためには、その性根を叩きなおさなきゃいけないんだ!」

(;^ω^)「そ、そんな……。
       でも、だからって死地に追いやるような真似!」

(;A;)「お前が死んだら、お袋さんも死ぬって言ってたよ……。
    あの人は、お前のことだけを考えているんだ」

( ^ω^)「……そう、だったのかお」

('A`)「わかってくれたか?」

( ^ω^)「……わかったお。ブーンはこれから真面目に働くお」

('A`)「そうか」

( ^ω^)「だから、この荷物は返すお」

('A`)「え」

( ^ω^)「え」

+++

('A`)「早く旅立てよ」

( ^ω^)「え。何それ怖い」

('A`)「怖いのはお前の思考回路だよ」

( ^ω^)「いや、真面目に働くから、死ぬのは勘弁だお。
       ブーンは心を入れ替えたんだお」

('A`)つ□「……ブーン。これ、見てみろよ」

( ^ω^)「契約書?」

('A`)「その下から十行目あたりな」

( ^ω^)「…………」

('A`)「読んだか? 書いてあるだろ?
    旅に出ること、給料のこと、死んだら家族に保険金が入ること」

( ^ω^)「さ……」

('A`)「さ?」

 

( #゚ω゚)「詐欺だおおおおおおお!」

+++

('A`)「何が詐欺なものぁ」

( #゚ω゚)「さっきと言ってることが全然違うお!
      死に関わることなんて聞いてなかったお!」

('A`)「ああ、言い忘れてたかもな。すまんすまん」

( #゚ω゚)「つか、保険金って、あのババア生きる気満々だお!」

('A`)「そう断定するのは早いだろ」

( #゚ω゚)「いーや、間違いないお!
      くっそう。どうしてボクがこんな目に! ていうか、こんな契約無効だお!」

('A`)「……ブーン。落ち着け」

( #゚ω゚)「これが落ち着いていられるかお!」

('A`)「ブーン」

( ゚ω゚)

( ^ω^)「…………」

('A`)「オーケー。落ち着いたらよく考えてみろ」

+++

( ^ω^)「何を考える必要があるんだお」

('A`)「この国についてだ」

( ^ω^)「国?」

('A`)「いや、法律について思い出せ。と言うべきかもな」

( ^ω^)「法律……」

( ^ω^)そ

('A`)「思い出したか?」

::(;^ω^)::「この身で、体感するとは思ってなかったお」

('A`)「だが、これが現実だ。
    この村が平和だからといって、忘れていい法律ではなかったのだよ。ブーン君」


この国には、とある法律があった。それは単純明快で。しかし、絶対的な効力を持っている。
昔、この国を作り上げた王はこう言ったらしい。


『嘘を嘘と見抜けない人間に、人生を行き抜くことは難しい』


+++

その教えに従い、この国では騙される方が悪い。という法律がある。
詐欺にあったと法廷へ駆けこめば、有罪判決を出されるのは被害者だ。

( ^ω^)「……ボクは、負けたのかお」

('A`)「そうだ。この国では、疑いもせず契約書にサインする人間などいてはならない」

( ^ω^)「しかし、ボクは愚かにも信じてしまった」

('A`)「お前がそれほどオレのことを信用してくれていたのは嬉しい。
    だが、契約は契約だ」

( ^ω^)「……ボクは」

('A`)「これ、やるよ」

( ^ω^)「剣、かお」

剣を持ったことなどない。
戦ったことどころか、喧嘩だってまともにしたことがない。

そんなブーンが、旅に出ることになったのだ。
人生とは、何が起こるかわからない。

( ^ω^)「……ドクオ」

+++

('A`)「……さよならだ」

( ゚ω゚)「うっ」

最後の足掻きを見せようとしていたブーンの首筋に、手刀が入る。
意識はなくなり、目の前は真っ暗。ブーンの体は重力に従って床に落ちた。

('_L')「ブーン君すまない」

背後にいたのは、自衛団の一人、フィンレクトだ。
気絶しているブーンを担ぎ上げ、店から出て行く。

('A`)「フィンレクトさん」

('_L')「すぐに目を覚ますさ。心配はいらない」

('A`)「……一つ、いいですか」

('_L')「ん?」

('A`)「その、ブーンのお袋さんと、いい感じの仲ってのは本当ですか?」

('_L')「ははは。小さな村だからね。すぐに話が回っちゃうんだね」

('A`)「本当なんですね」

+++

('_L')「ああ。だが、今回のことは関係ないぞ」

片手でブーンの頭を撫でるその姿は、まるで父親のようだ。

('_L')「ブーン君が旅にでないなら、私がきっちり鍛え上げて、自衛団に入れるつもりだった」

('A`)「ブーンからしてみりゃ、どれを選んでもろくな道じゃなかったってことですね」

('_L')「どうだろうね」

('A`)「魔物があまりこないところに置いておいてやってください」

('_L')「わかってるさ。
     私だって、あの人の悲しむ顔は見たくない」

('A`)「そーですか」

('_L')「ドクオ君。気にする必要なんてないよ。
     この道を選んだのは、結局のところブーン君自身なんだ」

('A`)「慰めとかはいいです。早くブーンを連れて行ってください」

('_L')「そうかい? まあ、今回のことは私からもお礼を言わないとね。未来の息子のためにありがとう」

('A`)「いえいえ。今後ともご贔屓に」

+++

( -ω-)ドサッ

('_L')「ここなら、魔物もあまりこない。
     ブーン君、強く生きなさい」

ブーンの隣に剣と荷物がいっぱい入ったリュックを置く。
ここから一番近い町にならば、数日歩けばつくだろう。
その分の食料はリュックに入っているし、木々にある木の実もある。魔物にさえ気をつければ死ぬことはないだろう。

ただし、眠っている間に魔物が来ないとも限らないのだが、
フィンレクトは仕事の経験上、ブーンが目覚める程度の時間ならば、魔物はやってこないだろうと予測をたてている。

フィンレクトは振り返ることもなく、村へ戻って行った。

+++

彼の思惑通り、ブーンの目が覚めるまで魔物は彼のもとにはこなかった。

( ^ω^)「……ここ、どこだお」

ただし、目が覚めたら知らぬ場所。それも、魔物がいるであろう森の中。
ブーンの混乱は言葉にできないほどのものだった。

( ^ω^)「どこだお! 村はどこだお! 帰りたいお!」

( ;ω;)「死んでしまうお! 本当に、食べられてしまうお!」

リュックを背負い、剣を片手に歩き回る。
しかし、村の影さえ見えない。

( ;ω;)「うおおおおん。うおおおおん」

涙を流しながら、ひたすらに走る。
そんな時だ、自分とは別の生き物が、草木をかきわける音がした。

+++

( ^ω^)「…………」


( ゚(エ)゚) ギシャー


( ゚ω゚)「ぎゃあああああ。出たああああああああ」

ブーンは腰にある物のことを忘れて走った。
走ることは嫌いでなかったことが幸いしたのか、なんとか魔物に追いつかれることはない。
しかし、引き離すこともできない。

( ゚(エ)゚) ギシャー

( ゚ω゚)「ボクにある秘めたる力あああああ。今こそ発動しろおおおおおお」

叫んでみたところで、そんな力があるはずもない。
しばらくすると、日が暮れてきた。
さらに雨が降り始めた。


三( ゚(エ)゚)  三(;゚ω゚)

+++

追いかけてきている魔物が、始めに追いかけてきた奴かはわからない。
しかし、今もまだブーンが逃げ続けているの真実だ。

( ;ω;)「どうして、こんなことに!」

 

そして、冒頭へと戻る。


+++

( ^ω^)「……助かったお」

雨のため、時刻がわからない。
ブーンは小さな洞窟の中で身を小さくしている。

( ^ω^)「……ボクは、生き残れるのかお」

不安は山のようにある。
しかし、現在地はわからず、村の場所もわからない。
まさに八方塞がりだ。

( -ω-)「とりあえず、今は……眠い、お」

さすがに走り疲れてしまった。
冷えきった体も、そろそろ休息を求めている。

ブーンは本能に従い、目を閉じた。
目が覚めたら、家にいて、今日も元気にニート生活。

( -ω-)(だといいのにお)

意識が切れる寸前まで、ブーンは考えていた。

 

( -ω-)(ニートに戻りたいお)

 

一日目 終

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